現在、地球上には多種多様な光合成細菌が生きています。光合成細菌が行う光合成には「型」と呼べるような基本的な反応があります。「酸素非発生型」、そして「酸素発生型」の2つの型です。
歌舞伎や能などの伝統芸能や、剣術や空手などの武道には、基本動作として「型」と呼ばれるものがありますが、光合成の型もそのようなものです。
今回は、その2つの型の中から「酸素非発生型」をご紹介します。
光合成細菌の活動の源である光合成
酸素がまだ存在しなかった太古の地球では、太陽の光を利用して生きてゆく方法である「光合成」を獲得した生命が現れました。光合成細菌のルーツとなる生物です。
彼らも、他の動物や植物などと同じように、やがて地上へ出て生活をはじめました。 はじめは、太陽の光の中の赤外線を利用して活動していましたが、次第に可視光線も使いこなせるようになっていきます。
酸素非発生型光合成とは
わたしたちの知っている光合成とは違い、光合成の材料として水を使わず、酸素も出さないことが大きな特徴です。
流派の違い
光合成細菌の酸素非発生型光合成には、「2つの流派」があります。「緑色細菌流」と「紅色細菌流」です。
光合成細菌が、光合成を行なう場所には、光のエネルギーを、化学エネルギーに変える「反応中心」という重要な部分があります。タンパク質でできていて、緑色細菌と紅色細菌では、「構造」、「反応の仕組み」、「キャッチできる光のエネルギーの種類」などに違いがあります。これが流派の違いになっています。
二刀流
紅色非硫黄細菌は酸素があるところでは酸素呼吸、酸素の無いところでは光合成を器用に使い分ける二刀流の光合成細菌です。