光合成細菌たちは、生活する中でさまざまな物質を作ります。研究者たちはその物質の中から、人にとって有益になるものを探して、色々な分野で使用しています。
今回は、大腸菌サルモネラ菌などのグラム陰性菌細胞壁の一番外側の壁を作っている、糖脂質である「LPS」という物質についてご紹介します。

呼び名について

LPSは別名「リポ多糖」や「リポポリサッカライド」と呼ばれています。一般的には学名のlipopolysaccharideを略した「LPS(えるぴーえす)」と呼ばれることが多いです。そのほかに、「内毒素」や「エンドトキシン」とも呼ばれます。

名前多すぎ

LPSの作用について

ひと昔前までは、人や動物など他の生物の細胞に作用すると、急激な炎症を引き起こして、時には死に至らしめる「毒素」として有名でした。しかし近年では、光合成細菌から得られるLPSのように人に役立つ物も見つかっています。最近はLPS=「毒素」といった認識はされなくなりました。

熱いけど毒じゃない

アレルギーとの関連

近年、花粉症やアトピー性皮膚炎など「アレルギーに悩む人」が急増しています。なんらかのアレルギー疾患のある人は、人口の30%以上に及ぶと言われています。そして実は、アレルギー疾患が増えてしまった原因のひとつに、衛生状態が良くなったことで「細菌に触れること」が無くなってきたことがあげられているのです。実際に、ヨーロッパで行われた調査では、土や動物に多く触れている農村部の子どものほうが、そのような機会が少ない都市部の子どもに比べて、アレルギー症状が出る頻度が低いという結果が出ているのです。

LPSに触れる

この調査の結果はどういう意味を持つのでしょうか?
実は、土や動物などには多くのLPSが含まれています。農村部の子どもは、その土や動物に多く触れることで、LPSを肌などから自然に摂取しています。この調査結果は、子どものころから、LPSに多く触れることにより「免疫を活性化させること」と、それによって「アレルギーになりにくい体が作られること」を意味しています。

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