「衛生仮説」とは、子どもの頃の衛生環境が、その後の免疫機能の発達に影響するのではないか?という仮説であることは、別の記事で説明しましたが、最近では「衛生仮説」を見直す動きの中で、新たに「旧友仮説」と呼ばれる説が現れました。今回はその「旧友仮説」において、「旧友」とも呼ばれる「微生物とヒト」の関係についてご紹介します。
旧友仮説とは
昔からヒトの皮膚や粘膜などに住んで共生してくれている微生物を「旧友」と呼び、「旧友」が様々な場面で免疫を鍛えてくれる大切な存在であるという考え方です。
旧友仮説では微生物と接触する機会が失われることで、より多くの現代病が引き起こされるのではないかと考えられています。
仮説の提唱
2015年にベルギーのハマド博士らは、「空気中の細菌に含まれるLPSにより免疫力が上がり、アレルギー疾患に罹りにくくなる。」という研究成果を発表しました。散歩しているだけで空気中の細菌が免疫力を上げてくれていたという驚きの研究結果でした。
田舎の環境と訓練免疫
都市部に比べて土や水などの自然環境に触れる機会が高い人たち、あるいは畜産農家や農業など動物にいつも触れ合える環境で生まれ育った人たちには、アレルギー患者が少ないことも分かってきました。
そんな環境には色々な微生物が空気中に存在しています。都会よりも豊かな微生物環境で育った子供たちは、免疫力が日々訓練されて鍛えられ、例えば花粉症の原因である、花粉アレルゲン程度ではうろたえない免疫力を身につけることができると考えられています。