新型コロナウイルスの流行をきっかけに、免疫について詳しく知った方もいると思います。 ワクチンが出来てからはさらに、免疫についての様々な話を聞くことが多くなったと思います。今回はその中でも特に「BCG仮説」と呼ばれるものについてお話ししたいと思います。

BCG仮説

BCG結核予防のためのワクチンです。日本では生後1歳までに摂取することになっているので、子供の頃に受けたBCGの痕が残っている人もいると思います。国によっては、BCGを接種しないところもあります。

2019年12月頃から始まった新型コロナウイルスの世界的な大流行で、BCG予防接種を義務付けている国では、そうでない国に比べて感染者数が少ないという事実に気づく研究者が多数現れました。これを「BCG仮説」と呼びます。

BCG仮説

仮説の検証

BCG仮説は疫学という方法を使い、数字だけで考察しているので、新型コロナウイルスとBCG接種の因果関係を直接検討していないため賛否両論があります。
しかし、一度BCGを接種すると、次に体の外から病原微生物が侵入してきたときに、免疫反応が起きる速度が格段に上昇するという研究結果が発表されました。

また、BCGの接種がなければ免疫反応が起きる速度が遅く、その分、病原微生物に対する対応が遅れて、それらが体中にはびこるのを許してしまうという考え方も出ました。

訓練免疫

消防でも火災をすばやく鎮火するためには、発生時の初動の速さが重要であり、そのための訓練を日々重ねています。
BCG仮説も、BCGによって免疫の発動が速くなるので、免疫が訓練されたと解釈する研究者もいます。このようにして免疫においても「訓練」すれば、よりすばやく発動して感染症を制することができるという「訓練免疫」説が現れました。
ただ、「訓練免疫」も加齢と共に活性が低下するので、訓練した免疫が永遠に使えるとは限りません。

訓練免疫
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