長い研究の歴史
約300年前から感染症にかかると、まったく別の病気が治ってしまうことがあることが知られていました。
皮膚炎ががんを治す?
1675年、ドイツの医師、フリードリヒ・ホフマンの著書には、「丹毒という皮膚炎にかかると、他の病気が治る。」と記されています。
今であれば感染した微生物の持つ成分や作用が、別の病気を治したと考えることが出来ますが、当時は「病原微生物」という考え方がなかった為、彼は皮膚炎になった患者の持つ他の病気が治ることに驚いたのでしょう。
研究の進展と問題
1700年代には、丹毒以外の感染症患者でも、一般の人々よりも、がんになりにくい、がん細胞が大きくなりにくいことを認めた論文が出始めました。
より明確な発見は、1876年にドイツのロベルト・コッホが、炭疽菌が病原菌であることを見つけてからです。 その後、1882年には、ドイツのフリードリヒ・フェライセンが丹毒の病原菌としてストレプトコッカス・エリシペラトス(Streptococcus erysipelatos)を発見します。
この抽出物(病原微生物)をがんの治療に応用する臨床研究が行われるようになりました。この物質は、免疫力を高める効果はあるものの、病気の原因そのものをとり除くことはできないという問題を抱えていました。