健康とは、人にも、動物にも、植物にも、そして私たちの住んでいる土にとっても大切なことです。土にとっての健康について、考えてみましょう。
土にとっての健康
「保水性が良い」・「通気性が良い」・「排水性が良い」・「栄養が豊富である」、この4つの条件がそろっている土は「健康な土」といえます。そして、「健康な作物」は「健康な土」で育ちます。植物の視点で土のことを考えてみましょう。
保水性の良い土
水持ちともいいますが、土が蓄えることのできる水分量が高いことをいいます。植物は根から必要な水分を吸収しますが、保水性が低い乾燥した土では、根から水分を吸収できず、枯れてしまいます。
通気性が良い土
土の中も、空気中と同じように酸素が含まれています。植物は葉と根から酸素を吸収して呼吸を行なっているので、土の中の酸素はとても重要です。土の中の酸素が少なく、植物が窒息状態になると、必要な水分や栄養を根から吸収することができなくなり「根腐れ」を引き起こし枯れてしまいます。
排水性が良い土
排水性が良い土とは、「水はけの良い土」とも言います。
土の中の水分が多すぎると、植物は酸欠を引き起こします。これが「根腐れ」の原因になります。保水力とも相反するように思われるかもしれませんが、植物には「適度な保水力の高さ」と、「適度な排水性の良さ」が必要なのです。
栄養素が豊富な土
「栄養素が豊富」なことを褒める言葉に、「肥沃な土壌(ひよくなどじょう)」という言葉があります。これは1グラムの土の中に数千万から数億の土壌微生物が生きている土のことをいいます。たくさんの微生物は、土の中で有機物を植物の栄養素に変えてくれます。そうすることで「栄養素が豊富」な「健康な土」になるのです。
土の中にいる微生物
菌類
カビ類(糸状菌)、きのこ類、酵母など。土壌微生物の70%を占めています。
細菌
「バクテリア」ともいわれ、土の中では数や種類が最も多い菌です。植物に栄養素を供給する働きをもつ菌も多くいます。
放線菌
土の中の悪い菌をやっつける役割があります。抗生物質の多くは放線菌から作られています。