光合成細菌は、太陽の光を使って生活をしています。そのため、別名「光の申し子」などと呼ばれることもあります。そんな光合成細菌は、約35億年前に地球上に現れたと考えられています。その起源はどこにあるのでしょうか?今回は光合成細菌のルーツを探ります!
40億年前の地球
約40億年前、当時の地球はマグマオーシャンという、海にもたとえられるくらいの大量のマグマが、ようやく地殻に引っ込んだ状態でした。
海水が地殻に浸み込んでくると、マグマで熱せられて周囲の岩石を含む様々な成分が海水の中に溶けてきます。これを熱水とよびます。例えるなら、岩石の出汁みたいなものですね。
海水と熱水で生命が誕生した?
岩石内部ではすごい圧力がかかるので、熱水は100度では蒸発できず、その温度は300度くらいにまで達します。海底では、この熱水が噴出して海水と混ざり合う熱水噴出孔がありました。
そこでは、熱水と海水に含まれる豊富な有機化合物に、高いエネルギーが加わります。そこでは、様々な化合物同士の化学反応が繰り返され、生命体が生まれやすい環境であると言われてきました。
そのようなことから、生命誕生の場は海底の熱水噴出孔であるという考え方が出てきました。
赤外線と光合成
熱を持った物質は赤外線を出しています。熱水噴出孔の近くの温度は400度にも達していたので、多くの赤外線を出していたと考えられます。
光合成細菌の代表である紅色細菌が吸収しやすいエネルギーは赤外線です。その中でも特に近赤外線と呼ばれているものを好みます。
ですので、光合成細菌の起源はこの熱噴出孔であるのではないか?という説が出てきました。
光合成細菌は「光の申し子」と呼ばれているのに、意外にもご先祖が生まれた場所は、日光が届かない海底だという説が有力になっているのは、何とも面白い話ですね。