光合成細菌について、様々なことをお話してきましたが、ではその細菌はいつ認識されるようになったのでしょうか?見えない細菌を見るには?その方法の歴史の一部をご紹介します。
細菌を見る
1676年 オランダの商人にして科学者であったアントニ・ファン・レーウェンフックが、手作りの顕微鏡を使い、世界で初めて細菌を見ることに成功しました。
細菌は、あるときは発酵や免疫アップに働く「善玉」であり、またあるときは伝染病や腐敗の原因となる「悪玉」でもあることが分かってきました。しかし人の目には見えないので厄介でした。
そこで、微生物学者たちは、細菌を可視化して善玉と悪玉を素早く見分ける方法の開発に力を注ぎました。
グラム染色法
19世紀のデンマークに、ハンス・グラムという細菌学者にして医師がいました。彼は肺の病気にかかった人の病原菌を見分けるために、それを染料で染めて可視化する方法を発明しました。これが、今でも医療の現場や研究によく使われている「グラム染色法」です。
クリスタルバイオレットとサフラニンという色素を使うと、紫に染まるグループと赤く染まるグループと大きく2つに分けられる事に気付きました。紫に染まるグループは「グラム陽性菌」、赤く染まるグループは「グラム陰性菌」といいます。
LPSをもつ細菌を可視化
細菌が紫に染まるか、赤く染まるかを分けるものは、細菌の細胞膜の構造の違いです。赤く染まるグラム陰性菌にはリポ多糖(LPS)という成分が必ず含まれますが、グラム陽性菌にリポ多糖(LPS)はありません。発見当時、グラム陽性菌は一般的に危険ではないとされ、グラム陰性菌はLPSなどの内毒素によって炎症を悪化させる危険な菌として認識されていました。
グラム染色法の発明により、LPSをもつ細菌と持たない細菌を、素早く見分けることができるようになったので、人にとって有害か無害を判断しやすくなったのです。