内毒素と免疫活性効果の発見

LPSはリポポリサッカライド(Lipopolysaccharide)の略で、通常は「リポ多糖」と呼ばれます。
他にも「糖脂質」、「内毒素」、「エンドトキシン」などとも呼ばれます。
近年では健康を守ってくれる成分として大きな注目を集めており、実は光合成細菌ともつながりが深い物質でもあります。今回は「内毒素と免疫活性効果の発見」をご紹介します。
【LPSについて】もご覧ください。

細菌と免疫

細菌に感染すると、がんが治ったり小さくなったりすることは、300年くらい前から知られていました。これが「がん免疫療法」の開発へとつながっていきます。

内毒素としてのLPSの研究

内毒素の研究が始まったのは約130年前のことです。ドイツの医師リヒャルト・ファイファーは、1892年にコレラ菌が発熱を引き起こす成分を含んでいることを発見、その成分を内毒素(エンドトキシン)と名付けました。
この成分が、同時期に開発された「グラム染色法」で赤く染まるグラム陰性菌に特有の成分であることも分かりました。
【見えない細菌を可視化する】もご覧ください。

内毒素を発見した

世界初のがん免疫療法

アメリカの医師ウィリアム・コーリーは、いくつかの死んだ菌をミックスした「コーリーワクチン」というものを開発し、それによってがんが治る様子を観察した結果を1893年に発表しました。
これは、世界初のがん免疫療法と呼ばれるものです。コーリーワクチンに使われた細菌の中には、セラチア・マルセッセンスというグラム陰性菌も含まれていました。

死んだ菌でワクチンを作ったよ

LPS研究の幕開け

このように19世紀の終わりには、グラム染色法、内毒素、細菌による免疫療法など、細菌の免疫力への影響について画期的な発見が相次ぎ、LPS研究の歴史が開幕したのです!

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